「マドンナーロ」とは、街頭でマドンナ(聖母)を描いて売る絵描きのことである。もともと「マドンナーロ」は、字の読めなかった一般市民に広く聖書の内容を普及させることを目的として、その内容を道に描き始めたことから始まると言われている。ここ、フィレンツェでも市から認められた「マドンナーロ」だけが、週末になると思い思いの絵を描く。聞くところによると、やはり有名な宗教画やウフィッツィ美術館内の絵画をコピーすると見物客も多く、チップも多いんだとか。ちなみに写真の絵は、日本人「マドンナーロ」によるもの。彼はこの界隈では有名で、毎年イタリア北部の町、マントバで開かれる「マドンナーロ」の大会でも、過去に何度も優勝した経験を持つ。道に描かれた絵が、今にも浮き立ってきそうである。場所はフィレンツェの中心地、レプブリカ広場からポンテ・ヴェッキオに向かう途中なので、近くに立ち寄った際にはぜひ、見学を。日時は不定期だが、週末を中心に「マドンナーロ」の姿を見ることができる。