大聖堂の西側に建っている円筒形の建物が「バッティステロ」、洗礼堂である。直径約35mで1152年に着工し、完成には200年以上を要したという。全体は白い大理石が使われ、建物の下側はロマネスク様式で、大聖堂と同じような列柱とアーチで装飾されている。一方、上側はゴシック様式を示す尖塔群で装飾されているという、珍しい建築物である。また、屋根は大理石の部分と素焼きの部分に分かれている。入口のアーチ部分には細かい細工が丁寧に施されており、外壁のストライプはどこかアラブの雰囲気もする。
内部の洗礼槽も八角形で、床も八角形の頂点から放射状に模様が続いている。建物の外壁の内部を、ぐるりと廻るように階段があり、上へ上がれる。洗礼槽の中央部分では30分に1度、歌を歌ってくれるショーがあって、素晴しい音響効果を実感できる。クーポラの内側で反響するように設計されているのだろう。見事である。