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日本で上映される今月の韓国映画

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ブラックな朝鮮半島の工作活動!? 実話を基にして描かれた「7月の韓国映画」

今月、日本で公開される韓国映画は奇しくも韓国と北朝鮮の工作員を描いている。どちらの作品も実話を基にしたもので、フィクションよりもドラマチックな朝鮮半島の一面を知ることができる。

一見、似た素材と思われそうだが、北朝鮮を探る韓国の工作員と、北朝鮮に家族を奪われた工作員の話なので、まったくの別モノ。韓国での興行も明暗が分かれた。

『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』

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映画あらすじ

1992年、将校だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は北の核開発の実態を探るため、コードネーム“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”という工作員に生まれ変わる。韓国のスパイとなった彼は、国家安全企画部のチェ室長(チョ・ジヌン)からの指令で事業家に成りすまし、北京で北朝鮮の対外交渉を行うリ所長(イ・ソンミン)に接近。信頼を得ることに成功する。

やがてパクは北朝鮮の最高権力である金正日と平壌で面会。核の実態調査を内密に進める一方で、リ所長との間には不思議な絆が芽生え始めていた。

ところが1997年の大統領選をめぐって祖国と北朝鮮が裏取引をし、パクは命がけの工作活動が無になろうとしていることを知り、激しく苦悩する。

 

公式サイト: http://kosaku-movie.com/

 

今、暴かれる祖国と北朝鮮の闇。真相はどこに?

韓国では選挙時に北朝鮮が事件を起こすと国民世論の風向きが大きく変わり、これを“北風”と呼ぶ。

本作では90年代の大統領選で吹いた北風の真相が明らかにされ、昨年の韓国公開時には497万人もの観客を動員。実在する“ブラック・ヴィーナス”にも注目が集まった。とはいえ、この真相も政権が変われば再び覆される可能性もなくはない。

写真説明

『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
(原題:『工作』/2018年/韓国/137分)

2019年7月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

何をどこまで信じるべきか―。

『出国 造られた工作員』

©D.seeD 디씨드

 

映画あらすじ

経済学者のオ・ヨンミン(イ・ボムス)は過去の行動によって韓国に戻ることができず、亡命先の西ドイツでも評価されずにいた。そんな中、北朝鮮で大学教授として働かないかと勧誘される。今より良い暮らしができるかもしれないと考えた彼は妻ウンスク(パク・チュミ)の反対を押し切り、家族を連れて北朝鮮に向かう。

しかし、そこで待っていたのは工作員としての過酷な訓練だった。そして工作員として指令を受け、家族とともに再び西ドイツへ向かうことに。

彼は空港で逃亡を試みるが、北朝鮮の工作員に妻と娘を人質に取られてしまう。一方、各国の情報局は北朝鮮のスパイを捕まえるためヨンミンを利用する。誰も信じられない状況で彼は家族を取り戻せるのか―。

 

公式サイト: http://www.finefilms.co.jp/unfinished/

 

 

衝撃の実話を基に描いたサスペンスで味わう絶望

ハッキリ言って娯楽作品ではない。家族を救おうとする父親の姿を描いているが、その父親の愚かな選択で家族を不幸にしてしまったという悲惨な話でもある。映画なので脚色されているが、報道からは妻と娘の壮絶な人生が想像できる。

また、親北派の現政権に歓迎されない本作を上映したのはごくわずかな映画館のみ。この点も救いがない。

写真説明

『出国 造られた工作員』
(原題:『出国』/2018年/韓国/105分)

2019年7月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー

一瞬の愚かな選択で家族の人生までも狂わせる恐怖。

text:児玉愛子

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