Sir John Soane's Museum(ジョン・ソーン博物館)の館内には所狭しと収蔵品が展示されているため、一度に入場する人数に制限があります。この建物は建築家であったソーン自身によって設計されました。イングランド銀行を手がけた建築家であり、Royal Academy(ロイヤルアカデミー:王立美術院)にて学生に建築学を教授していた Sir JohnSoane(ジョン・ソーン)は、1792年から1824年にかけて自宅を改装しながら独自の博物館を創設しました。
博物館創設には、彼の教え子たちが展示物を実際に見学することで、講義の内容を深めることができるという学術的な意義がありました。彼は1833年からイギリス政府に対してその教育的意義について説き、援助を求めました。その願いは受入れられ、彼の存命中は政府の援助の下、彼が亡くなった1837年以降は政府が博物館を管理、運営しています。創設当初から建築やデザイン学生をはじめ、一般の人々も彼のコレクションを無料で見学することができます。
館内には、ソーンが収集した設計図、建築模型、彫刻、絵画などが所狭しと展示されています。数多くの所蔵品のなかにあって一番の目玉は、古代エジプト第19王朝の第2代ファラオ、セティ一世の石棺です。ソーンは、地下室を「棺の部屋」と名づけ、石棺がコレクションに加えられた際には、三日間にわたって祝宴を設けたという逸話が残っています。