19世紀以前に中国大陸からマレーシアに東西交易のため渡ってきた中国人ビジネスマン(華僑)が、現地のマレーシア人女性と結婚し、混血により産まれた子孫を、男性を「ババ」、女性を「ニョニャ」と呼ぶ。その「ババニョニャ」料理をいただけるのが「プルドッグカフェ」である。
マレー風生春巻きのポピアの皮は、ライスペーパーではなく、タマゴを使った小麦粉のパンケーキだ。そのため妙にふんわりしているのが特徴。しかも野菜たっぷりでうれしい一品。食事というより、ヘルシーなスナックと捉えたほうが良いかもしれない。予想していたインパクトはなく、その割にはお腹がふくらむ料理だ。続いて、オタオタは、白身魚の練り物(はんぺん)の上にココナッツをベースにした特製チリをたっぷりのせて、葉に包んで焼き上げた料理だ。そして、代表的なマレー料理でもあるラクサ。ラクサとはココナッツ風味のカレーラーメンのことだが、マレー系ラクサがサンバル・チリで辛みを調節するのに対し、ニョニャ系はあらかじめスープに10を越えるスパイスが織りこまれているそう。ラクサは特に美味しい。お店はババニョニャの建屋らしく奥行きがあるのが印象的。そして太陽光を取り入れるため中庭があるのだが、なんと雨もそのまま入ってくる仕掛けとなっている。その雨を受けるのがちょっとした池で、鯉が悠々と泳いでいる。食文化以外にも存分に楽しめる空間となっている。