15年もの間、構想を練り続け、3年の年月を費やし2012年にオープンしたポール・レぺシェフのコンセプトレストラン「ウルトラバイオレット(Ultraviolet by Paul Pairet)」は、上海ばかりか世界の美食家の間で話題です。
テーブル1卓、食事のできる顧客は1日10名、コンピュータのスクリーン10台、20品のコース料理のみを提供、スタッフは25名、プロジェクター7台、スピーカー56台、アロマディフィューザー4大、用意されているテーブルウェアは計4274個。これだけでどんなレストランか想像つく方はそうはいないでしょう・・
予約客は18:30きっかりに指定の場所に行き、送迎車で住所も公表されていない「秘密のサロン」へ向かいます。
10名の予約客が“劇場”に入った瞬間から、めくるめくようなガストロノミーの旅が始まります。全面がスクリーンとなっている壁には、絶え間なく画像が映し出されています。20品の料理は、それぞれに合わせて選ばれた画像、音楽、アロマと共に運ばれます。
例えば、“オスティ”という一品は、リンゴジュースとワサビのソルベですが、灯ったキャンドルと揺れるベルの画像が映し出され、オリジナルのフレグランス、チャーチが空間を満たし、AC/DCの曲“ヘルズ・ベルズ”が流れる中、運ばれてきます。
“トリュフのスープブレッド”は、パンの下部はヘーゼルナッツバターに浸し、上面は焼いてトリュフをあしらったお料理ですが、シガーの煙を満たしたガラスバーをかけた状態で運ばれ、もやのかかった森林の画像が映し出され、フォレストという香りが漂い、チリー・ゴンザレスヴァルスが流れる中、フランシスコ・コッポラ・レゼルブ・シャルドネ2009と共にいただきます。
このひとときは食事以上の体験といえるでしょう。