サクロモンテの丘には、ロマ族たちが暮らすクエバという洞窟住居があります。ロマ族はジプシーのことですが、ジプシーは差別用語にあたるため、現在ではこの用語は使用されていません。しかしながら、ジプシーという響きに流浪の民の悠久のロマンを感じるのは私だけではないはずです。彼らは北インドから流れ着いた民族で、ロマ族の名称は北インドのロマニ系に由来します。彼らの多くは中東欧に居住していますが、スペインをはじめヨーロッパ各国にコミュニティーを作っています。
サクロモンテ解説センターでは、クエバ内の様子が見られる他、ロマ族の歴史や生活文化に関する資料が展示してあります。センター内には12のクエバが展示されており、各クエバには寝室やキッチン、機織部屋など、かつてロマ族の人々が暮らしていた部屋の様子が再現されています。ドールハウスのようにこまごまとした家財道具が飾られたクエバは、一目、見た瞬間から私の目を釘付けにしました。こんなにかわいらし展示なら一日中、見ていても見飽きることはありません。
庭にはハーブ・ガーデンがありました。乾いた土に各種のハーブが植えられており、立てかけてある札でハーブの名称と効能を確認することができました。解説センターのスタッフのお兄さんは、歩きながら無造作にハーブをむしりとって、口に入れていました。庭に生えている草が、時には薬になり、お茶になる、そんな素朴な暮らしに憧れます。サクロモンテの丘からはアルハンブラ宮殿を一望することができます。
|
|
|