「藤居」は信義路をはさんで永康街とは反対側へ伸びる連雲街を進み、しばらく歩いていった場所にある。このあたりはかなり入り組んだ道であるせいか、少し迷ってしまった。
「藤居」は普通のマンションの一階に突如現れた隠れ家のようなたたずまい。茶芸館「紫藤廬」が改装中のため、名前を変え臨時で営業をしているのがこの「藤井」。中に入ると一軒家のような造り。椅子の部屋、床板張りの部屋、そして奥には畳の部屋がある。平日で夕食時も過ぎていて、ほとんど人はいなかった。静かな畳の部屋に通してもらった。シンプルなしつらえ。下に引いてあるマットは生地屋で布を購入し、周りをかがった手作り。
有機包種茶を頼んだ。一煎目はお店の小姐が淹れてくれた。一人でゆっくりとお茶を飲む私に、同じお茶好きの匂いを感じ取ったのだろう。中国語ができるとわかると、気軽に話しかけてきてくれた。
「藤居」も雰囲気がよくてステキな茶館なのだが、「紫藤廬」が6月20日からリニューアルオープン予定とのこと。「藤居」はまもなくその任務を終える。ちょっと残念ではあるが、新しく生まれ変わった「紫藤廬」で美味しいお茶が飲めるのも楽しみかな。