日本人がパンケーキと言って思い浮かべるのは、バターとメイプルシロップでいただくホットケーキではないでしょうか。ここイギリスではパンケーキといえば薄焼きのクレープです。
ロンドンでホームステイをしていたある日、ホストファミリーは私にパンケーキを勧めました。その日は Pancake Day(パンケーキデー)でした。ホストマザーは私に「パンケーキを焼いているけど何枚、食べる。」と聞きました。私はホットケーキを想像していたので、「1枚で結構です。」と答えました。彼女は「本当に1枚でいいの。」と怪訝な顔をしていました。それもそのはず、パンケーキはクレープのように薄いのです。気を利かせたホストマザーが焼きあがったパンケーキを見せてくれたおかげで、ひもじい思いはしなくてすみました。
パンケーキデーとは四旬節(復活祭の46日前から復活祭の前日まで)の前日で、正式には Shrove Tuesday(シュローブ チューズデー)といいます。四旬節の期間中、キリスト教徒は自身に禁欲的な生活を課します。そのため、その前日のシュローブ チューズデーには、四旬節中には食べることが禁じられている卵やバターを使ってパンケーキを作りました。この日がパンケーキデーの愛称で親しまれることの所以です。今では四旬節を厳格に守る人はめったにいませんが、この日にパンケーキを食べる習慣は今でも残っています。
ホームステイ先ではジャムや蜂蜜とともに甘いパンケーキをいただきました。これが一般的な食べ方だと思いますが、ツナや野菜を巻いておかずクレープ風にして食べてもおいしいです。