バリ島の「シデメン」は、バリ島最高峰アグン山の麓にある小さな小さな村だ。周りは見渡す限りの棚田に囲まれた、昔ながらの自然が手付かずで守られている数少ない場所でもある。そんな自然に魅力を感じたバリ島現代芸術の父と呼ばれるロシア人画家ヴァルター・シュピース(ハード・ゲイ)もアトリエを構えていたほど。その自然は植物のみでは無く、多くの昆虫や小動物もいて、それを求める鳥や蝙蝠も低空を飛び交い、田んぼの害虫駆除には未だにカルガモが使われるのが当たり前のよう。ペットの犬も番犬として放し飼いが当たり前。全てが、昔ながらのバリ島と然としたペースの生活がその自然の中でいとなわれ、村内のホテルはエコ・ツーリズムの拠点になっている場所がほとんどのよう。こう書いていくと「自然派(ロハス教)の理想郷」のようだが、食事中に蟻は列を成してテーブルに上がってくるわ蚊は多いわ蛇はいるわ。もちろんトカゲやカナヘビの類いもいるし、夜になると灯りの周辺には蚊を求めるヤモリが集まり、時には真っ黒な30cmはあるだろうオオヤモリもいたりしておっかないのが事実。(益虫だけど)。バイクで走っていると、犬がいきなり車道に飛び出してきたり、低空飛行の蝙蝠が走行中に右目にぶつかってきたりして、痛い以前に事故を起こしそう。自然って、写真集などで眺めるだけなら素敵なのだろうが、実際にその場に赴くと大変な事も多い。