香港島を走る2階建て路面電車『トラムウェイ』(以下トラム)にはいくつかの折り返し線があり、走行区間の終点まで来ると、その折り返し線を使って反対方向へと向きを変える。この北角(NorthPoint)もその一つで、西側の上環などから来た電車のうち何本かはここで本線から外れ、折り返しの軌道(春映街)に入る。
ところが、この折り返し軌道は両側に屋台が所狭しと並びその一部は軌道線上にはみ出している。そして電車が来ると一旦片付けるのだが、電車が行ってしまうと再び店を広げる。こんな光景が毎日行われているのだ。
勿論日本では考えられない光景だが、現地の人々にとってはそれが当たり前。電車の運転手も線路上にダンボールなどが落ちていたりする度に「しょうがねぇなぁ・・・」とでも言いたげな表情で、それでも文句も言わず電車から降りてそれを片付け、そしてまた電車に乗って走って行く。
勿論、車も通るし通行人もいる。それでも皆、暗黙の了解でもあるかのように電車の走行に支障をきたす事無く平然と軌道上を行き来する。
香港に来た際には是非この光景を目にする事をお勧めする。香港の逞しさとしたたかさを身をもって感じることが出来るだろう。
時間的には早朝(午前7時頃)がお勧めだが、旧正月の前などは、線路沿いに縁起物の金柑の鉢を売っている業者もいて、それは見事な光景である。