「カルコサ・セリ・ネガラ」はクアラルンプール最高峰のホテルである。当時のマラヤ連邦の英国大使公邸として、1904年に建てられた由緒ある建物で、現在はわずか13室の全室スイートルームのブティックホテルとして営業している。建物の歴史的価値だけでなく、バトラーサービスや広大な庭園など、あらゆる面でクアラルンプールの最高峰を誇るホテルだ。クアラルンプールはホテルが本当に安いので、こういう最高級ホテルにも泊まれてしまう。リッツのような欧米系超一流チェーンでも2万円台で泊まれるし、「カルコサ・セリ・ネガラ」も2万円台で泊まれてしまう。
「カルコサ・セリ・ネガラ」へ行くには、空港から市街地を抜け、大きな公園の周りを走る立体交差の高速道路をくねくねと複雑に回って、途中から丘を登りはじめる。山道をしばらく登ると「カルコサ・セリ・ネガラ」の看板が現れ、さらに5分ほど山を登ったところに位置する。門で守衛が番をしてる。ホテルに到着すると、まずは担当のバトラーが出迎え、そしてオーナーが登場して挨拶。
入り口を入るとたいそうな階段が目に飛び込んでくる。まるで映画で見る貴族の家のようだ。チェックインカウンターという野暮なものなどなく、先に部屋に通されてから、部屋でゆったりチェックインとなる。リビングルームだけでも、並のホテルの一室より広い。さらに奥へと続くベッドルームは、リビングよりもっと広く、いったい何畳ぐらいあるのか目分量では計測不能なほど。洗面所だけでも8畳ぐらいはあるのではないか。バスルームも、これまたゆったり広いつくり。そして、ベランダ。これも10畳ぐらいはありそうだ。部屋から出てくると南国のむっと熱い空気に包まれるが、なんとも居心地がいい。町の喧騒とはまったく無縁で、一面が緑で囲まれている。まるで避暑地や別荘地みたいな雰囲気だが、実際はクアラルンプール市街の中心地から車で15分ぐらいしか離れていない。