美食家にはつとに知られた処で、訪れる客人にはいつの時代も政界・財界や文化人の方々など、各界を代表される要人も多く、その高名は広く海外にまで知られている。この店が登場する小説や随筆も数知れず。志賀直哉『暗夜行路』 瀬戸内晴美『京まんだら』 川端康成『古都』その他多数。
すっぽん料理のこちらは、元禄年間(江戸中期)、初代・近江屋定八が創業してから、約330年もの間、すっぽん一筋に17代続いた老舗です。現在の店舗も当時のまま営業しておるようです。すっぽんの○鍋とはよく言われた言葉だが、実はここ大市が発祥であり、商標も取られているのです。つまり正真正銘の本物のすっぽんを食べさせてくれる、ということ。京都の町屋特有の造り、紅殻格子の外観や上に付いている虫籠窓などが美しい。挨拶をしながら中へ入ると、お待ちしておりました、と静かな出迎えを受ける。別段大層なものではなく、というかむしろ冷たくよそよそしい感じにもとりようには採れる。だが、これぞ京都名物いけず。それは陰険ではなく、意地悪でも皮肉でもイヤミでもなく、毒舌とも違うニュアンス。こういうところにも京の魅力を感じてしまう。建物の内観は非常に伝統的「うなぎの寝床」と呼ばれる狭い間口、深い奥行きもしっかりととられている。坪庭や井戸もあった。決して豪奢ではないが、古色蒼然たる趣がかえって落ち着く古き良き風情を残し、どこか懐かしい風を届けてくれます。
役立つ情報
・大市のすっぽん料理
浜名湖といえば、今でこそ鰻の養殖で有名な湖ですが、
実は鼈(すっぽん)の養殖の歴史のほうが長いというのをご存知でしょうか。
「大市」では、その浜名湖のすっぽん養殖の老舗「服部中村養鼈場」で、
育ったすっぽんを使用しています。
「服部中村養鼈場」は、浜名湖で100年以上の歴史をもつ養殖家として有名ですが、
そこに「大市」専用の養殖池がございます。
その広さは50mプールで約410個分の面積にも及びます。
「大市」の○鍋は、コークスにより約2,000℃に近い高温で一気に炊き上げます。
このコークスによる調理法は、いまや「大市」を象徴する独特の調理法となっています。
大市は「調理法」にこだわっています。
土鍋は信楽焼きの分厚い専用の土鍋を使用しています。
大市の歴史と智恵で生み出された高い耐熱性を備えた土鍋。
大市で使われている土鍋はまさに「こだわりの土鍋」であり、「大市」の「宝」なのです。
~大市HPより~
他情報
※冬季の夜は、17:00入店または19:00入店の二部制
すっぽん料理
すっぽんは古来より、滋養に富み、強壮に良いといわれており、日本では登呂遺跡からも、食物とされたすっぽんが出土しています。江戸時代「嬉遊笑覧」「寛永料理集」に「真亀は吸い物に、泥亀(すっぽん)は云々」とあり、すっぽんは強壮に良く、諸病を除き、婦人の髪を長くすると信じられておりました。また、良質のたんぱく質やアミノ酸が豊富で、動物でありながらアルカリ性食品であり、脂肪は植物と同じ不飽和脂肪酸他の動物や魚類にはみられない、すっぽんにだけ特有の脂肪。それ故、医食同源の中国では、すっぽんを珍重し、宮廷で多く用いられ、その歴史は5000年にも及ぶといわれておるようなんです。