マチナカにある森のパン屋さん&カフェ、正確には「森のカフェの中にあるドイツパン屋さん」でしょうか。千本通りを中立売通りより南に歩くと東側にスーパーニッショーが見えます。その建物の後ろ側に見え隠れする木立の中にはちはち Infinity Cafeがあります。織物の街、西陣の中心部に位置し、周囲では今もところどころで織り機の動く音が聞こえます。千本通りを西に越えると、水上勉の小説「五番町夕霧楼」跡もすぐです。そんな古い家並みの続く細い道を歩くと、突如、都会の中とは思えない、静かな空間に出会います。
元ミュージシャンのオーナーが、ドイツ人の友人の協力を得て改装したという日本家屋には、とてもゆったりとした空気が漂っています。パン屋さんといっても、外から見えるわけでもなく、看板にそう書いてあるわけでもないのですが、知る人ぞ知るドイツパンのお店で、在京外国人にも人気があり、結構遠くからもリピーターが来るようです。こちらで作られるパンは、自家製の天然酵母が使用されています。オーナー一人で切り盛りされているため、酵母菌が死なないよう見守る上で、二日以上店を離れることはないとおっしゃるほど、大切に育てている天然酵母です。
また,ドイツの伝統的なパンの製法にのっとり、バターやオイルをいっさい使用していないほか、砂糖の使用も極一部の製品に三温糖が使用されている程度です。カフェメニューはとてもシンプルで、ランチにサンドイッチとスープのセットがある他は、本日のパンとジャム、フルーツブレッド、オートミールクッキー、はちみつスパイスケーキがあるのみです。ランチセットには、サラミとかついているのですが、テーブルに「ヴィーガンの方にも対応します」と書かれているのでご安心を。食材や飲み物も出来るかぎりオーガニックにこだわっているとのことで、オーガニックのコーヒー、紅茶のほかビールも揃っています。晴れた日には大きなガラス窓越しから緑の葉っぱと木漏れ日がさしこみます。午後のひとときをゆったりと過ごすのにもってこいの一軒です。