今現在も尚、京都で一番勢いのあると言える日本料理店「緒方」。緒方俊郎氏が2008年に独立開業。またたく間に脚光を浴び、某赤本その他にも高評価にて掲載。四条烏丸の一本奥まった路地裏は京風情に溢れる。美しい厨子二階の設えや雰囲気は、すでそこはかとなく重厚な風格を醸し出している。若き天才と言われてもう随分久しい。氏が長らく雇われ料理長を務めた、京料理店・室町和久傳の頃から評判はよく、様々なヘッドハンティング話やあらぬ噂も立ったほどの敏腕の持ち主。独立の直前何年間かは、今か今かと待ち詫びる全国の食通も多かったとか。満を持して遅すぎる開業はほんの3年前のことなのである。名前は自身の名を冠し「緒方」。
奥さんと小僧さん2人ほどで切り盛りいかにもというカウンターでの割烹・・といってもすべてお任せ料理なのだが、7席という丁度よい数の椅子を並べ、その奥に4名以上で予約を受け付けるという個室。その個室には幅1m長さ2m近くにもなる欅風のテーブルが設えてあるという。メニューは、大胆な素材押しで、ここまでシンプルかつダイナミックに最高級素材を見せつけられるのも、いや、魅せつけ続けられるのも、一重に腕次第このスタイルでこの営業形態で勝負し続けるのは至難の業でしょう。ご心労お察し致します。でもこんな言い方では失礼な言い分になってしまうのでは?という程に伸び伸びとそして淡々と、美味いもんを、それとなくひょいっと出す緒方氏。恐ろしいほどの伸び代を実感する京都の若星で、これからが本当に楽しみな方ですね。