古代、ペルシャ帝国の一部を成したアゼルバイジャンは、同時に旧ソビエト連邦の構成国でもあり、ロシア語を話す人も多いとのこと。地理的にもロシアとイランに挟まれています。歴史的な背景から、料理も、イランやトルコなどの中近東料理と、ロシア料理などを取り混ぜて食されているようです。
シャンディズは、まさに国の歴史を体現したようなお店です。店主は、アゼルバイジャン生まれのイラン育ち。ロシア人のスタッフもいます。供される料理は「アゼルバイジャン」「イラン」「ロシア」料理。カスピ海周辺諸国の料理を総称してここでは「カスピ海料理」と呼んでいます。英語圏で、「中近東料理」と称されているものと同じです。
豊富なメニューの中から特に珍しいものを紹介します。サラダや前菜では、トルコやイスラエルで馴染みのあるメニューの他、ロシア風餃子やパン等もあります。中でも店主のおすすめは、「サブズィ・ポローヴ」というハーブライス。ハーブはわざわざ母国から取り寄せているため、日によっては,品切れということもあるそうです。塩とハーブの香りがとてもうまくあっていて、このご飯と、煮込み料理1品でも十分晩ご飯になります。メイン料理は、羊や鳥の肉を串焼きにしたキャバブ(カバブ、ケバブと言われるものと同等)の他、肉・野菜・豆類を使った様々な種類が揃っています。どれも日本ではあまり見かけない料理ばかりですが、ベジタリアンには「キャシュケ・バデンジャン」(なすとミントのドライチーズペースト)、「ミルザガセミ」(ナスとガーリックと卵トマトペースト煮込み)などがお勧めです。全体的に、塩を良く効かした、フェタチーズを使った料理が多いように見受けられます。
店主は、日本語がとても上手ですが、英語は話せないそうです。ただし、スタッフには英語の上手な日本人、それからロシア人もいます。店内は、まるでアゼルバイジャンかイラクに旅行したかのような異国情緒漂う、明るく落ち着いた雰囲気で、日本料理に飽きた海外からの客を案内するにはもってこいのお店です。なお、料理で使用している肉は全て「Halal」ミートとのことです。