一乗寺の下り松は、一見、ただの松の木なんですが、何で有名かといえば、剣豪・宮本武蔵と吉岡一門の決闘の舞台として知られています。漫画『バガボンド』でおなじみですね。吉岡の当主・清十郎、伝七郎兄弟をそれぞれ破った後、面子を潰された吉岡道場の一門が武蔵に決闘を挑んだというエピソード。武蔵は吉岡一門70人を相手に生き残ったというすさまじい伝説で、どこまで信憑性があるかも定かではないみたいですが、一応、ここが舞台です。「宮本武蔵開悟の地」という看板も。また、この一乗寺は古くから比叡山より京都に降りるときに通る、交通の要衝です。もともとは松も、その目印として植えつがれているもので、現在4代目。南北朝の動乱の時代には、後醍醐天皇側の楠木正成がここに陣取ったということで、松の後ろにはその記念碑も立っています。「大南公(※楠木正成のこと)戦陣蹟」このときは正成が勝利しますが、対する足利尊氏は勢力を盛りかえし京都を奪回。正成は湊川の戦いで戦死し、後醍醐天皇は吉野へと逃れ、以後、南北朝の分裂が決定的となっていきます。と、日本史上の有名な戦いの舞台となった一乗寺。現在「一乗寺」の近辺といえば、京都最大のラーメン激戦区として有名です。天下一品の本店もこの近くにあります。というわけで、激しい戦いは現在も続いているのでした。