ロンドンでも屈指の高級住宅街であるメイダ・ヴェイルのほとりを流れる運河、リージェント・カナル一帯は、1862年から1887年までこの地に暮らした英国の詩人、ロバート・ブラウニングによってリトル・ヴェニスと名づけられました。テムズ川に注ぐリージェント・カナルとそれに続く運河は、19世紀から20世紀の初頭には、商業用のナローボートの航路として発展しました。ナローボートは、産業革命の時代に石炭や工業製品を運搬するために運河のサイズに合わせて作られたボートです。しかし、商業航路としての運河は、道路網や鉄道の発展に伴いその役目を陸路に譲ることとなり、1969年には完全にその役目を終えました。現在この場所には、主にレジャー用のナローボートが停泊されており、夏季には観光用のナローボートが運行されています。ボートのカフェやレストランもあります。ナローボートは住居としても使用されています。リトル・ヴェニスを終の棲家と定め、そこにボートを停泊させてお住まいの方、運河を移動しながら生活をされている方と様々です。