新中央酒店(ホテルセントラル)の創業は1928年。まもなく開業100年を迎える澳門では老舗のホテルで、その創りから当初は6階建てだったようだが現在では増築されたらしく11階建てになっている。
澳門でのホテルの評価基準はちょっと変わっていて、客室が綺麗だとか設備が豪華だとかより、いかに多くの施設が併設されているかが優先される。つまり、日本で言うなら居住性の良いビジネスホテルより1階にコンビニがあるお化け屋敷の方が評価が高くなる。そして、その評価に決定的な影響を及ぼすのがカジノ併設の有無なのである。
ここ新中央は7階にレストランの設備はあるが(現在は閉鎖中)、カジノが無いのが致命傷になったのだろうか(以前はカジノがあったらしい)?セナド広場から徒歩30秒という立地の良さにも拘らず、今ではかなりグレードの低い安宿になってしまった。部屋は広くはないが、テレビとクーラーは設置されており、浴槽はそこそこ広く窓が素通しガラスなので(客室は曇りガラスだけど普通は逆だよね?)新馬道に面した部屋からは南側の夜景を見ながら入浴できる。
主な宿泊客は西洋人のバックパッカーだが、実は最上階は大陸からの職業女性たちの溜まり場と化している。彼女たちは当局の摘発を逃れるため決して表には出ないが、午後8時頃から6階のエレベーター前で客引きを始める。ホテル側も心得ているのか、エレベーターホールには監視カメラが設置してあり、毎回6階でエレベーターが停まる(顔見せタイム)事以外はこれといった実害は無い。
フロントスタッフは広東語・英語に通じており特に不自由は無いが、夜間のスタッフは得てして大柄な態度で、カチンとくることがある。そのくせ室内の清掃はいい加減で、洗面台に前の宿泊者が使った歯磨きが残っていて、そこにゴキブリが頭を突っ込んで死んでいたりと、なかなかいい味を出している。
7階より上の階の通りに面した部屋は居心地は悪くないが、この部屋で240元(平日一泊、2008年当時)は安いとは言えない。
また、セナド広場で催し物があるとうるさくて寝てられない時がある。
建物の丁度真裏に世界遺産の三街會館がある。
※2013年10月現在、押し並べて値上がり傾向にあるマカオの安宿の中でここは平日一泊253パタカ(キーデポジットは20パタカ、週末はプラス100パタカ)からとなっており比較的安い価格で、他の賓館やゲストハウスよりはるかに経済的ではあるが、メンテナンスが行き届いておらずあちこちに老朽化が見て取れる。隣室の物音が気になる事はあまりなく、窓の無い部屋もそこそこ広いので圧迫感も少ないが、調度品も古くお世辞にも雰囲気が良いとは言えない。フロントも夜間はやる気が感じられず、宿泊の手続きは昼に来てくれと言われる有様。
上層階は職業女性が多くなり、近いうち黄掃(一斉摘発)があるのではないかと推測されるが、彼女たちの存在が一般宿泊客に特に影響する事はほぼ皆無。寝るだけと割り切ればお得なホテル。