フィリピン料理と言えば、アドボ、シニガン、シーシッグ、ティノラ、ブラロ....などなど、いわゆるアジア的な料理等、「スペイン文化」の影響を受けたスペイン風フィリピン料理も多くある。そんな料理を、古いスペインファミリーの家で楽しめる場所が、イントラムロスから車で5分ほど、マラカニヤン宮殿(大統領公邸)のある敷地内にある。ここは、スペイン人の裕福な家族、元医師であったDon Alejandro Legarda (アレハンドロ・レガルダ旦那様)とその妻 Dona Romona Legarda (ロモナ・レガルダ大奥様;Tita Moning )の元邸宅で、4人の子供(のちに皆、医師になる)を愛情を持って育てた場所。Tita Moningこと、ロモナ夫人はそれはそれは料理が得意だったそうで、夫婦共に家族での食事を非常に大切にしていたとか。アレハンドロ氏は93年に、ロモナ夫人は99年に他界し、その後、孫であるSuzette Legarda Montinolaスゼット・レガルダ・モンティノラさんが、祖母のレシピを家族、友人達だけでなく、より多くの人に楽しんでもらいたいという願いをこめて、このレガルダ邸宅を開放して「La Cocina de Tita Moning(モニンおばさんの台所)」をオープンすることに。レガルダ家族の所有していた多くの私物/骨董品も展示されており、食器類や家具類も全て家族が使っていたもの。従業員のほとんどは、長年レガルダ家族に仕えた人たちで、そこにはレガルダ夫妻が守ってきたあたたかいホスピタリティーがある。
オーナーのスゼットさんは、ここをレストランとは呼ばず、料理、空間、全てを楽しんでもらう 「Dining Experience」と呼んでおり、予約のお客様のみを受け入れる「全予約制度」。食事の前にツアーがあり、素敵にセッティングされた食卓に通される。幸せ家族の基本は、「幸せな食卓」にあると、そんなことを改めて感じさせてくれた場所。それぞれのテーブルには、当時と同じように、メイドさん、スタッフを呼ぶための呼び鈴がある。