テヴェレ川を越えたトラステヴェレ地区は、まだキリスト教が認められていない古代ローマ時代にキリスト教徒のコミュニティがあった場所らしい。今は下町風情が漂う雰囲気だ。そんな街にあるのが「サンタ・チェチーリア・イン・トラステヴェレ教会」。聖チェーチリアの屋敷跡に建てられたという。聖チェチーリアはマルクス・アウレリウス帝時代に殉教しており、音楽の聖人としても知られている。
祭壇の下に墓があり、1600年ステファノ・マデルノが制作した「聖チェチーリアの像」が置かれている。発見されたときの様子をそのまま表しているようで、首には殉教したときの傷跡がしっかり残っている。「サン・カッリストのカタコンベ」にはこれのレプリカが置かれている。
地下は薄暗く、ちょっとした迷路みたいになっているが、しばらく行くと急に視界が鮮やかになる。どうやら礼拝堂のようだ。通常は入り口の鉄扉に鍵がかけられていて、入ることができないが、シスターにお願いしたら鍵を貸してくれた。内部には、19世紀末のものだという聖アガタのモザイクや動物などのモザイクがあちこちにあって、なかなかの見ごたえだ。