静かに佇立している白い建物がローマの「オペラ座(Teatro dell Opera)」だ。質素の外観は一見、オペラの華麗なイメージとは結びつきそうもないが、ローマ4大オペラ劇場の一つでもある場所だ。1877年ドメ二コ・コスタンツィがアキーレ・スフォンドリに建設を依頼し、1880年に完成した建物である。そのため、このオペラ座の正式名称は「Teatro Constanzi」であるそう。
ここでマスカー二の最高傑作「カヴァレリア・ルスチカーナCavalleria Rusticana」(1890)やプッチーニの「トスカ」(1900)などの初演が行われたという。また、1958年にはグロンキ大統領臨席の下でマリア・カラスが「ノルマ」を途中まで歌い、キャンセルするという20世紀オペラにおいて史上最大のスキャンダルが発生したこともあるそうだ。
「オペラ座」が面しているトリノ通り(ViaTorino)は路が狭いゆえか、両側の建物のそびえ立つ感じが一段と浮かび上がるようになっており、雰囲気がまた趣深い。鑑賞の際はお洒落なレストランへ行くくらいのフォーマルであれば、問題ないだろう。機会があれば、本場のオペラを堪能してみて。