「クイリナーレ宮」は歴代の法王が居住した場所である。1550年に枢機卿イッポリト・デステが館を整備したのが始まりで、その後法王が夏の滞在地として利用するようになり、1592年にはクレメンス8世が完全に移り住むようになった。フォンターナ、マデルノ、ベルニーニ、フーガなど代表的な建築家が建設に携わり、クレメンス12世の時代に完成を迎えた。歴代法王は1870年まで住んでいたが、イタリア統一後は王宮となり、1947年の共和政以降は大統領官邸となっている。
内部にはメロッツォ・ダ・フォルリによるフレスコ画やマデルノのパオリーナ礼拝堂などがあり、日曜の午前中のみ見学が可能だ。大統領官邸ということで、周辺の警備はあつく、少し重々しい雰囲気がする。