鐘路の仁寺洞のピマッコルという路地裏にある、歴史ある飲み屋さんです。
席に座ると何も頼まなくても、ホッケの焼いたのと洗面器のようなボール(人数によってはタライのような・・・の場合もあり)に入ったマッコリがまず出てきます。
これがこの店の基本セットです。
マッコリは手作りだそうです。本場で飲むマッコリは微炭酸ですっきりした飲み口。
農民が仕事の合間に喉の乾きを潤すため飲んでいたというルーツも頷けます。
タライにひとつお椀が浮かべてあります。これでマッコリをすくって、自分のお椀に注ぎます。不衛生だとか、そういうことは言いっこなしです!
ホッケは日本のようにグリルなどの魚焼き機ではなくて鉄板で焼かれています。
その為か日本の焼き魚よりジューシーな焼き上がりです、
脂が乗っておいしいホッケにお好みで、粗塩を付けて食べます。この塩がなんだかまたおいしいのです。
基本セットだけでは足らなかったら、追加注文しましょう。
私はピンデットッを注文しました。表面がカリカリに焼かれた小さめのピンデットッもなかなかおいしかったです。
以前火事に遭い、お店が半分焼けてしまったそうでその半分は今テラスになっています。
私が行ったのは夏だったので「こちらの方が涼しいですよ」と進められテラスの席に座りました。
テラスからは隣のバッティングセンターの風景とバットの音が聞こえ、またいい雰囲気でした。
お店の中の壁や、外壁にも落書きがびっしりしてあります。中にはとても詩的なフレーズが書いてあったりとか、外壁にはメニューも書いてありました。
穏やかな雰囲気の小さな女将さんが切り盛りしています。温厚そうに見えて、店の敷地内に入って来た路上生活者のおじいさんを一喝した時はすごい勢いでした。飲み屋を何十年も女でひとつでやってきただけある迫力でした。
お店の名前のワサドゥンはガス灯という意味です。昔お店にひとつガス灯があったのでそう呼ばれているらしいです。
実はこのお店は看板を出しておらず、正式な店の名前もないそうです。ワサドゥンは愛称のひとつという訳です。
他に「コカルビチプ」(鯖屋)という呼び名もあるそうです。昔ホッケではなくて鯖を出していたことに由来するとのこと。
とても雰囲気のある、アジア的空気が流れる店です。酒好きには是非一度訪れてみてほしい店。