「ラス・メドゥラス」はユネスコの世界遺産にも登録されている自然豊かなところだ。ここは全体が古代ローマ帝国の金鉱山跡なのである。つまり「ラス・メドゥラス」は産業遺産なのだが、その景観もまた素敵な場所だ。大自然という印象を受けるが、この景観は古代ローマ人が金を採取するために作りだした人工的なものだ。赤茶色の山肌が見えるが、これこそが人工的な山肌なのである。鉱山の山上に貯水槽を作り、周りの川から水を引き、その貯水槽に貯められた水が鉱山の水路を通り流しだして、山肌を削り取るという仕組み。その水路が水によって押し出され、穴があいているところが見える。 山を水で削り取って、水力を利用して金の発掘をした。紀元前25年ころから200年以上も採掘は続いていたようだ。その後、この地で特に発展もなかったために採掘現場がそのまま残っている。壁に文字が残っていたり、坑道の跡があったりするのが見られる。削られた垂直に近い山肌には植物が根づきにくいので、今もほぼ昔の景観が残っているのだろう。それにより、長寿の大きな栗の木や珍しい植物も多くみられ、スペイン国内の自然遺産にも登録されている。