龍山寺よりさらに10分程歩くと1854年に建立された「青山宮」に行くことができる。ここに祀られている霊安尊王。コンクリのビルに囲まれた小さな寺院すっぽりと挟まったかのよう。今の建物は日帝時代の建造であるとのこと、そういえば入口にはちゃんと阿吽の口をした一対の狛犬がお座りのポーズで出迎えてくれたし、石柱には「昭和」という年号が彫られていた。回廊で繋がれたロの字型の建物は、中央部分の天井がない。
雨風が吹きこんで手入れが大変なのではないかと想像するが、奇麗に掃除されている。金色の彫りモノの最深部に祀られた御本尊の霊安尊王も気になるのだが、それよりも回廊に設置された将軍の像が心に引っ掛かって仕方無かった。その像には枷将軍と書かれたタスキがかけられており、肌は真っ赤で眉毛がアゴよりも長く伸びて下がっている。どうして台湾道教の神様達は部分的に毛が伸びてしまうのか。お化け屋敷で出会ってもまったく不思議ではない風貌。この時参拝していたのは私達だけ静かな時間だった。触れてみた石の壁がひんやりと冷たく心地良かった。