新宿通りを、日陰道を歩いて2丁目くらいまで歩いたところ、ランチボードが目に入った。ランチの内容が書いてある。沢山のおかずがありそうに見えた。店は喫茶店だ。ビルの2階の店で「ルモンド」だった。
店に入った。入った瞬間に気が付いたが、昭和の雰囲気の店だ。年代を経て黄褐色に代わった木製のテーブルや椅子や壁面。その壁面にはマンガのコミックス、入り口近くにはマンガ雑誌。そして、お客の全てがおやじ。この店は時代が付いてアジがあるというよりも、黄昏てきている感じ。ルモンドというよりも、留主水という感じだ。
ランチ800円を注文した。ボードに書かれていたランチの内容はこうだ。
白身魚のフライ、コロッケ、煮物(厚揚げ)、佃煮、お新香、味噌汁、コーヒー|紅茶マスターとおぼしき男性が料理を運んできた。ん?と思った。昨日隠れ家のランチを食べたばかりである。おかずの数が多かったので、同じような料理を勝手に妄想していた。現実はこれである。昨日がなければ、「普通の弁当だな、喫茶店だもんな」となっていたかもしれない。ランチボードの内容と見比べてみた。間違いは無かった。さっそく食してみた。揚げ物は熱々。コロッケは甘味があり肉屋のコロッケを彷彿させるものだった。厚揚げと佃煮がちょっと存在が地味なんだな。弁当箱だからだろうか。
弁当としては地味だが、普通の味だった。そしてこの弁当の地味さが、黄昏の片棒を担いでいるようにも思えた。
地味じゃないものが一つあった。アイスコーヒ。生のビアダルみたいな入れ物。おやじ達が喜びそうな器だ。