前日に、ホーチミンの戦争証跡博物館で予習してから、ツアーに参加しました。一日ツアーで、クチトンネルの後、ミト市でのメコン川クルーズも含まれていました。
ホーチミンからは、ツアーの車で2時間弱で到着しました。荷物は最小限(貴重品程度)にすることをお勧めします。観光用に整備されている場所ですが、かなり蒸し暑かったです(9月上旬)。
ベトナム戦争当時、ベトコンが対アメリカ軍と戦うゲリラ戦の本拠地として、地下トンネルを200㎞以上掘ったことや、その一部を観光用として広げて体験施設として公開していることなどを、事前説明としてバスの中でガイドさんから説明がありました。
まず、地下トンネルへの出入り口での出入りを体験することができます。人ひとり分、垂直に立ち座りするくらいのサイズしかなく、蓋をして周りの木の葉をかけてしまえば、どこが入口か分からないようになっています。
また、落とし穴方式の罠も、ものすごく原始的(アナログ)でありながら、巧妙に作られており、ベトコンの地道な戦法がうかがえます。アメリカ軍が引き揚げ時に、置き去りにしていった戦車もそのまま展示されており、銃弾の後も見ることができます。触ったり登ったりしての写真撮影も可能です。
地下で生活をしていたため、空気穴が必要でどのように作られていたか、またアメリカ軍の攻撃がない時に地上に出て息抜きをしていたこと、炊事場を再現したところや、アメリカ軍の不発弾を再利用したベトコンの武器製造過程、タイヤから作ったサンダルなど、本当に地道な戦い方をしていた様子が分かります。
オプションで、10発60,000ドンで弾を購入することにより、実弾射撃も可能です。銃は固定されているので、打った時の反動はありますが、女性でも十分体験できるようになっています。
数ある体験の中でも最大の目玉は、実際に地下トンネルと通過する、というものでしょう。私たちは、観光客用に大きく広げられた30メートルの「簡単な通路」と、観光客用にちょっと広げた60メートルの「簡単じゃない通路」の2種類を体験しましたが、ツアー参加者の中には「簡単な通路」を体験しただけで無理と判断し、60メートルには行かなかった方もいらっしゃいました。というのも、どちらも腰をかがめて歩くか、しゃがんだまま歩くしかないくらいの、高さのないもので、ただ歩くだけでも大変です。地上よりもはるかに蒸し暑く、観光客用の体験施設のため、数メートルおきに電気の明かりをつけてあるとはいえ、真っ暗です。
私たちには通るだけでも苦痛なこのトンネルですが、実際ここに住んでいただけでも相当な苦労だったはずなのに、まして戦時下で、さらにはアメリカ軍の攻撃もあり、本当に当時のベトコンの精神力の強さには脱帽です。これは体験しないと分からないものだと、ツアー参加者全員の一致した意見です。
普段、ベトナムでは「ハス茶」が麦茶のように飲まれているそうですが、ベトナム戦争当時は、「笹茶」を飲んで、現在ではタピオカで有名になったキャッサバを食べていたそうです。トンネル通過の大変さを体験した後は、このキャッサバと笹茶がふるまわれます。
時間の関係で、日本語による解説動画は半分ぐらいで退出しましたが、同行した日本語ツアーガイドさんの説明だけでも十分理解できました。
現地でネットから予約が可能なツアーもたくさんありますし、短い滞在でしたら半日のクチトンネルツアーもあるようですので、ほんの40年ちょっと前に実際に起きていた戦争を知るためにも、ぜひ訪問していただきたいお勧めのスポットです。