「壁博物館」は、小さいのだが、見ごたえがある場所。中には、旧東から旧西へいかにして脱出したか、実際に脱出した方法等が展示される。スーツケースに人が入っていたり、ロープを伝って逃げてたり、トンネルという映画にもあるが、地面を掘ったりしてきたりと、当時の状況が様々と深く学べる。ここはかつての国境検問所であるチェックポイント・チャーリーがあった場所。1961年に東西を隔てる壁が出来てから、何人もの人がこの壁の向こうに自由を求めて脱出を計る。そんな壁の歴史が垣間見れる内容の展示物がいっぱい。ベルリンの壁の一部を、壁博物館前に展示したものも。壁の割れ目から、バラの花を差し出してる人の手が描かれているものも。一番印象に残るのは、脱出の為に改造した車。トランクや後部座席など驚くほど狭く、ここに隠れて脱出を計ったかと思う様な展示。人によっては、車の下にしがみついて脱出した人もいたとか。いきなり出現した壁のせいで、東に遊びに行ったまま帰って来れなくなった子どももいたらしい。ベルリンという1都市をぐるりと塀で囲んで、東ベルリンをソ連が、西ベルリンをフランス、英国、アメリカでケーキを切るように分けていた時代があったなど、今の若者にはやっぱり歴史って認識なのだろうか。故・石ノ森章太郎先生の傑作マンガ『サイボーグ009』で、004であるアルベルト・ハインリヒも、東から壁を越えたという経歴の持ち主。その折、一緒に脱出を計った時、恋人は亡くなってしまう。原作/勝鹿北星さん、作画/浦沢直樹さんマンガ『MASTERキートン』でも『心の壁』というサブタイトルでベルリンの壁のお話がある。
~西に脱出を計るも妻は身重のため東に残り、そのまま東で娘を産み落として収容所で命を落とす。父は、母を置き去りにして愛人と西に逃げたと思い込んだ娘は壁が壊れた後、西に行き父を探し出して復讐しようとするのだが、結局それが誤解で自分も母も愛されていたと言う事がわかり、心の壁が壊れるというストーリー。~
・入館料
一般:12.50ユーロ
学生:7.50ユーロ