古いものを重んじるイギリス人は、今でもヴィクトリア時代に建てられた建物を改装して住居として使用している。また、家具や食器をアンティークとして大切に使っている。ヴィクトリア時代の文化や風俗を紹介する展示品を数多く所蔵する郷土資料博物館がロンドン西部にある。ガナズベリー公園内にあるガナズベリー公園博物館。現在は、公園として市民の憩いの場となっているこの土地は、長い歴史の中で何人もの皇族や実業家の手に渡った。19世紀の初頭に実業家であったアレクサンダー・コープランドがこの土地の一部を買上げ、現在は博物館として使用されているカントリーハウスを建設した。その後、1835年には銀行家であったネイサン・メイアー・ロスチャイルドの手に渡り、1925年にカウンシルに売却されるまではロスチャイルド家が広大な土地と建物を所有していた。博物館内には、ロスチャイルド家ゆかりの展示品も多くある。この博物館には、19世紀から20世紀前半にかけての商店の様子を再現した展示がある。タバコ屋さんの他にも質屋、薬局、手芸洋品店、玩具屋さんなどのディスプレーがある。一日中、見ていても飽きない。ドールハウスは1880年代に作られ、19世紀には上流階級だけではなく中産階級の人々も、このような精巧でお金のかかった玩具を子どもたちに買い与えることができるようになる。ミニチュア家具の多くはフランスやドイツから輸入された。ヴィクトリア時代の上流、中産階級の家庭では多くの召使を雇っていた。召使を雇うことはステイタスシンボルでもあった。家事労働は主婦ではなく召使の仕事。そのなかでも掃除やアイロンがけなどの家事一般はハウスメイドの仕事だったそう。バースチェアは、足腰の弱っている人や老人の間で人気があった。もともとはBath(バース)で温泉療養する人々を湯場まで運ぶための移動手段として作られた。ポニーやロバに車を牽かせるのが一般的で、乗客は手綱で行き先をコントロールすることができた。