そのぼってりとした姿に愛嬌があるせいか、アンティークの Bovril(ボブリル)の瓶を集めている人は少なくありません。
ボブリルは水飴状のビーフストックで、お湯に溶かしてスープにしたり、マーマイトのようにトーストの上に塗って食べます。どこのスーパーにも売っている定番商品です。
ボブリルの誕生は、1871年にナポレオン3世が当時、プロシア軍と戦っていた自国の兵士たちのために、牛肉の缶詰を製造するようにと呼びかけたことがきっかけとなりました。スコットランド人の John LawsonJ ohnston(ジョン・ローソン・ジョンストン)がその求めに応じ、Johnston's Fluid Beef(ジョンストンズフルーイドビーフ:液状ビーフ)を開発しました。1886年にはこの商品の名称はボブリルと改められ、パブや食料品店、薬局でも販売されました。
ボブリルは、第一次大戦中の食糧難の時代には手軽で栄養価の高い食品として重宝されました。また、南極大陸を探検したロバート・スコットやアーネスト・シャクルトンらも厳しい寒さの中でこのスープをすすったといいます。現在では、温かいボブリルのスープは、厳冬のスタジアムでフットボールマッチを応援するファンには欠かせない飲み物として定着しています。