旧暦の9月1日から9日間行われる菜食週間。その名も「ギン・ジェ」。町中が黄色地に赤字のステッカーや看板でいっぱいとなる。この期間中は体を清めて、邪を払い、無病息災を祈る、という信仰だ。殺生をしない、という理念から野菜だけを食べよう、となっているそう。体を清めるため他にも、悪いことを言わない、考えない、色のついた服を着ない、つまり、白い服を着る、男女の交わり禁止などがある。
中国から伝わり、中華系の人が始めたのには間違いない。プーケットには中国寺院と呼ばれる、タイの金ピカしたお寺とは違ったお寺があり、「ギン・ジェ」もこのお寺が中心となり、行われる。
こうした信仰心の深い行事には神様を身近に感じる、信仰を試す、などがありがちだが、ここでは神様がやってきた体には何をしても痛みを感じない、ということで荒行、苦行が行われる。火の上を歩いたり、体に釘を刺したりするのだ。神様が降りてきた人は特別な人で、この期間中だけみんなで崇める。
「ギン・ジェ」は中国から伝わった仏教とシャーマニズムがミックスされ、発展したプーケット独自の信仰と言えるだろう。現在ではタイ全土に広がり、健康ブームにも乗っかって菜食だけが一人歩きをしている状況だ。ちなみに、生理中、妊娠中の女性は参加出来ないし、見てもいけないとの項目もある。当然、食べ物も特別なものなので、特別なお店がズラリと並ぶ。ちゃんとお菓子やデザートもあるので、ついつい買いすぎてしまいそうだ。機会があれば、「ギン・ジェ」の時期にプーケットを訪れてみて。