リゾートホテルが建ち並ぶカアナパリ・ビーチは約3マイル(約4.8キロ)に渡って広がっている岩。一番端はシェラトン・マウイ・リゾートにあるブラック・ロック(BlackRock)(ハワイ語で「プウ・ケカア(PuʻuKekaʻa)」)に至る。
ブラック・ロックはカアナパリ・ビーチに突き出し、この岩の先端から海に向かって飛び込む若者の姿を見ることができる。この「ブラック・ロック」の周りはダイビングやシュノーケリングのメッカにもなっており、たくさんの魚を間近で見ることができる。ここに住む大きなウミガメも時々姿を現し、ダイビングやシュノーケルで遊ぶ人たちを楽しませてくれている。古代ハワイアンの時代、この周辺にはヘイアウがあり、とても神聖な場所とされてきた。そして、この「ブラック・ロック(プウ・ケカア)」は、死者の魂が飛び立つ場所だと言い伝えられていた。飛び立った魂は先祖のもとへと戻るが、先祖がいない魂はこのあたりをさまよっていると信じられ、ハワイアンたちはあまり近付かない場所だったよう。勇猛な戦士として知られている18世紀のマウイ島最後のチーフ・カヘキリは、人々に恐れられていたこの岩から海へと飛び込んだそう。度重なる戦いで憔悴し切っていた部下の士気を高めるために、チーフ自ら戦士としての心意気を態度で示したというわけ。このカヘキリのダイビングを見た部下たちは、カヘキリの勇敢な姿に心を震わされ、次なる戦いであったハワイ島のカラニオプウ軍との戦いに勝利を収めたという伝説が残されている。今では、シェラトン・マウイ・リゾートでは夕暮れ時になるとカヘキリに扮した男の人が、「ブラック・ロック」から海へと飛び込むクリフ・ダイブ・セレモニーが毎日行われている。季節によって時間は違うが、だいたい6時半から7時頃にセレモニーを見ることができつ。沈みゆく夕日に照らされた黒々とした大きな岩は、圧倒的なパワーを持って迫ってくるようにさえ見える。その岩に設置された松明(たいまつ)に火がつけられると、荘厳な雰囲気をかもし出し、時代を超えてかつてのカヘキリの姿を彷彿させる。